野村ノート
今日現在、楽天ゴールデンイーグルスはリーグ4位だけど、34勝33敗と貯金が1あり、パリーグ上位の一角を成している。
そしてこれは、野村監督の存在なくして語れない数字ではないか。
そしてこれは、野村監督の存在なくして語れない数字ではないか。
プロ野球はなんだか旧時代的で、様式的で、モッタリしていて、正直あまり好きではなかった。
だいたい貯金ってなによ(笑)。※1
けど、北海道(札幌)にチームがあり、それも常に上位にいて盛り上がっているとあっては、どうしたって関心を持たないわけにはいかない。
そんなわけで、今年はプロ野球をよく見ている。
見ていると面白くなって来るし、プロ野球もなかなかいいねと思うようになる。
特に面白いのは、カケヒキの妙だろう。
同じチームスポーツでも、サッカーやバスケと違って攻守が峻別されていて、“間”も長い。
好きでなかった頃はこの“間”がとてもイヤだったんだけど、そこに空気の動きや腹の探り合い、投手から野手へ・打者から打者へと続く流れが感じられるようになる。緊張と解放のリズムがけっこう心地よい。
(これ、日本人だなァ(笑))
さて、そんなカケヒキの妙の一端を説き明かしてくれるのがこの本だ。
実に実に、緻密で論理的で、明解。
例えば、「キャッチャーは捕球したら打者の肩を見よ」という。肩が突っ込んでいるか開いているか、それで待っている球が読めたりする。
こんな、野球のティップスがテンコ盛りなんである。※2
しかもそれだけなら単にテクニック論だけど、事例を挙げ、“なぜ”を説き、応用を語るうちに、話はいつの間にか“考えて”取り組むことの重要さになり、組織の中でどう活かすか(活きるか)、人間としてどう成長させるか(するか)、へと発展していく。野球は分業が発達した“組織”なので、話はいきおいチーム論や経営論にまで及んでいく。
野村野球とは意識付けだ、という。
組織は意識で変わる。考え方でヤル気も変わるし、目的に対して心が一つになれば、仮に個人の能力が平凡でもチーム力は相乗倍加されるということだろう。
それができれば監督(リーダー)は勝ちだ。
ただ、それが難しいからどの組織も苦労する。意識付けといったって頭ごなしに言うだけでは誰もついてこない。「基準と根拠」の確立がキモであり、それが野村流IDなのである。だから楽天はもっと強くなるだろう。
スポーツチーム、会社、プロジェクト…日本的組織をどう活かすか、その答えがこの本に詰まっている。
※1 貯金ってなによ
勝ち越している/負け越していることを、なぜわざわざ「貯金がどうの」って言うのかな、と疑問であった。今でも疑問ではある。ただこの単語を使うと、「ゲーム差」の算出に都合がいいそうだ。(チーム間の貯金/借金の差を2で割ったものがゲーム差)
ちなみに、今年初めて「規定打席とは」「規定投球回数とは」「チェンジアップとは」とかを知った。
入り込んで行くとなかなか面白いんですな。
※2 ティップスがテンコ盛り
あるページを開くと、こうある。
こういう、よく練り込まれた「セオリー」が随所に出てくる。野球をやる側にとっては金言の数々だし、見る側にとっても目ウロコである。それこそ「物の考え方」の勉強にさえなる。
この本はオレの野球観戦のバイブルだな…と思ったら、以前読んだ2冊の本とどこか非常に似ていることに気がついた。
それは;
浅田次郎 「競馬の達人 」 (オレの競馬のバイブル(笑))
阿佐田哲也 「Aクラス麻雀」 (オレの麻雀のバイブル(笑))
である。
「基準と根拠」が明確であれば、たとえ失敗しても後悔しない…といったことが確か書かれていた。哲学が通底している。勝負に共通する真理だね。
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だいたい貯金ってなによ(笑)。※1
けど、北海道(札幌)にチームがあり、それも常に上位にいて盛り上がっているとあっては、どうしたって関心を持たないわけにはいかない。
そんなわけで、今年はプロ野球をよく見ている。
見ていると面白くなって来るし、プロ野球もなかなかいいねと思うようになる。
特に面白いのは、カケヒキの妙だろう。
同じチームスポーツでも、サッカーやバスケと違って攻守が峻別されていて、“間”も長い。
好きでなかった頃はこの“間”がとてもイヤだったんだけど、そこに空気の動きや腹の探り合い、投手から野手へ・打者から打者へと続く流れが感じられるようになる。緊張と解放のリズムがけっこう心地よい。
(これ、日本人だなァ(笑))
さて、そんなカケヒキの妙の一端を説き明かしてくれるのがこの本だ。
「野村ノート」 野村克也 (小学館)
実に実に、緻密で論理的で、明解。
例えば、「キャッチャーは捕球したら打者の肩を見よ」という。肩が突っ込んでいるか開いているか、それで待っている球が読めたりする。
こんな、野球のティップスがテンコ盛りなんである。※2
しかもそれだけなら単にテクニック論だけど、事例を挙げ、“なぜ”を説き、応用を語るうちに、話はいつの間にか“考えて”取り組むことの重要さになり、組織の中でどう活かすか(活きるか)、人間としてどう成長させるか(するか)、へと発展していく。野球は分業が発達した“組織”なので、話はいきおいチーム論や経営論にまで及んでいく。
野村野球とは意識付けだ、という。
組織は意識で変わる。考え方でヤル気も変わるし、目的に対して心が一つになれば、仮に個人の能力が平凡でもチーム力は相乗倍加されるということだろう。
それができれば監督(リーダー)は勝ちだ。
ただ、それが難しいからどの組織も苦労する。意識付けといったって頭ごなしに言うだけでは誰もついてこない。「基準と根拠」の確立がキモであり、それが野村流IDなのである。だから楽天はもっと強くなるだろう。
スポーツチーム、会社、プロジェクト…日本的組織をどう活かすか、その答えがこの本に詰まっている。
※1 貯金ってなによ
勝ち越している/負け越していることを、なぜわざわざ「貯金がどうの」って言うのかな、と疑問であった。今でも疑問ではある。ただこの単語を使うと、「ゲーム差」の算出に都合がいいそうだ。(チーム間の貯金/借金の差を2で割ったものがゲーム差)
ちなみに、今年初めて「規定打席とは」「規定投球回数とは」「チェンジアップとは」とかを知った。
入り込んで行くとなかなか面白いんですな。
※2 ティップスがテンコ盛り
あるページを開くと、こうある。
多くの打者には共通する苦手ゾーンがある。
(1)外角低めへのストレート(原点)
(2)低めへの変化球
(3)特殊球
(4)内角への快速球や鋭く小さい変化球
こういう、よく練り込まれた「セオリー」が随所に出てくる。野球をやる側にとっては金言の数々だし、見る側にとっても目ウロコである。それこそ「物の考え方」の勉強にさえなる。
この本はオレの野球観戦のバイブルだな…と思ったら、以前読んだ2冊の本とどこか非常に似ていることに気がついた。
それは;
浅田次郎 「競馬の達人 」 (オレの競馬のバイブル(笑))
阿佐田哲也 「Aクラス麻雀」 (オレの麻雀のバイブル(笑))
である。
「基準と根拠」が明確であれば、たとえ失敗しても後悔しない…といったことが確か書かれていた。哲学が通底している。勝負に共通する真理だね。
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