アイヌ語地名の本
「アイヌ語地名で旅する北海道」 北道邦彦 (朝日新書)
「旅する」のタイトル通り、北海道の要所を紀行文的にぐるりと巡りながら、アイヌ語地名を解説する本。
どうも一つひとつを踏破した風でもないし、語釈のみだったり逆に地名だけポンと出てきて語釈がなかったり、説明の分量もまちまちだったり、山だったり街だったり地域が飛んだり、またところどころにyukarの紹介や文法の深掘りが挟まっていたり…てな具合で、かなり読みにくかった。
「気楽に楽しめる」というには学問的だし、アイヌ語地名に関しては知里真志保氏や山田秀三氏の著書などを読んでいればほぼ既出だしという面からも、ちょっとバランスがよくない本かも。
そうは言いつつ、トムラウシ(山)の語源の詳細な説明や、和人との摩擦の小史(あまり体系的には知らなかったので)、明治初年には札幌の通りの名には北海道各国郡の名が使われていた(大通り=後志通、西2丁目北=夕張通など)などのエピソードは面白かった。