「
ニホン語、話せますか?」 マーク・ピーターセン (新潮社)
明治大学政治経済学部のアメリカ人先生(比較文化・比較文学)による、アメリカ語ネイティブから見た日本のアメリカ語事情に関するエッセイ集。
著者が直接日本語で書いている本だと思うけど、まず、日本人が書くのよりも微妙に鋭い(舌鋒ならぬ)筆鋒が面白い。
「…のを見ると殴りたくなる」、「ブッシュ(子)のアホ度」などの直截的な表現のほか、ゴマカシ、デタラメ、阿呆らしい、ガサツだなど、ナマっぽいというか、日本人だったらこうは書かないのではないかと思われる単語がけっこう目に入るのである。
これだけ書ける人なら日本語の習熟度の問題とは違うだろうし、この一種特徴ある文体に、まずアメリカ的な指向を感じる。
本の内容は、日本で見られる報道、文学、映画や日頃の生活の中に横行している“ヘンなアメリカ語(やその訳文)”を、
「CAN YOU CELEBLATE」という歌のタイトルがとても気持ち悪い、
中学英語教科書がこんなだったらアメリカ語嫌いにもなるわい、
高見浩という翻訳家(
「ハンニバル」シリーズなどを訳した)がとてもいい、原作のココロをよく汲み取れる訳者がようやく出てきた、
…という具合に、ヤリ玉に上げたり誉めたりするものである。
日本語とアメリカ語の間には深いクレバスが横たわっているのよ…という話ではあるが、結局言葉というのは社会的な背景や個人の生活背景と不可分なものであり、なかなか一対一で引き写せる(翻訳できる)ものではないということだろう。
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以下はメモ。
- 村上春樹の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」はいずれ読もうと思っていたんだけど、この本でコキ下ろされているのでやめた(笑)。
- you とか will とか could などに潜む微妙な語感(アメリカ人ネイティブがどう感じるか)の説明はたいへん勉強になる。
- 日本人はアメリカの話題をけっこう知っていると思うけど(なにしろ植民地だからな)、アメリカ人は日本のことなどロクに知らない。「東洋のベルギーくらいにしか思っていない」という。
この喩えにも笑っちゃったが、笑っちゃうけどやがて哀しき米日関係、な本なのだった。
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さらに以下は、イギリス語(アメリカ語)に関する自分メモなので
読まなくてよいです(笑)。