1軒目は、受付電話の女性の感じがいいところ。見積りアポ時間の確認も早めに寄越したし、好感度高し。
やって来たのは、純朴そうだが、カラテでもやっているのか手がものすごくごつい若者。
彼がキレたら、おれは死ぬな…と意味もなく思った。
部屋を見て、ひとつひとつ荷物をチェックして、料金を出してくれる。
聞けば“事前に想定していた予算幅”の上限を少し超えた辺りである。
「これは基本料金です、もう少し値引きしますよ…今、ウチに決めてもらえるのなら思い切った金額出します」という。
私は、こうした値段の駆け引きが大嫌いだ。
落ちるもんなら落とせるところまで落とした金額を提示し、「これ以上はちょっと」と言うべきだろう。
もう1軒見積りが残っていたので、今決めるわけには行かない。夕方じゃだめか?と言っても、彼はなかなかねばり強い。「今でなければ相場が変わってしまいます」という。
2軒聞いてから結論を出すつもりではあったが、もし2軒目がもっと高かったら? 北海道までの引っ越し相場を知っているわけではないので、ちょっとグラつく。
諦めさせるつもりで、見積り額から10万円くらいも落ちるんならねえ…と言ってみると、「わかりました、本部と交渉します」と、意外とアッサリ言う。料金の信頼性はどうなっておるのだ。
「まだ何とも言えませんよ、上司次第なんです…」と言いながら本部に電話をかける。「…というご希望なんですが」と金額を言うと、受話器の向こうで「そんなに落ちるか、馬鹿。ガチャン」という音が聞こえた。思わずワラタ。
彼は顔色も変えず、もう一度電話をする。今度は上司の「○○は大丈夫なんだろうな、間違ってないだろうな、じゃOK」という声が聞こえた。
電話を切って彼、「はあ、二度目でOK出ました」。
察するに、小芝居なのだろうな。
まあ取りあえず、当初よりはかなり安くなったので、この時点でハンコを押すことにした。
その後、札幌搬入までの期間が「10日みてほしい」という話が出た。10日!? それは困る。長すぎる。「何かあった時の保険ですから、まあ通常は1週間…これは海を越えますからどの業者さんでも同じですよ」というので、それでも困るが、妥協することにする。
そんなこんなで、あまり満足感は高くないまま、取りあえず契約となった。
ハンコは押したけど、2軒目の見積を聞いた後キャンセルすることも既に考えに入っている。
段ボール等はいつもらえる?と訊くと、「実は今持って来てます」という。あれ、そういうシステムだったっけ。
ともあれ、約80枚の段ボールを置いて、彼は去って行った。
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2軒目はその夕方である。
こちらは、以前にもお願いしたことのある業者サン。
受付電話の女性はちょっとベテランげな声で、愛嬌という面では1軒目の若い女性にはかなわないが、ざっくばらんでよくこなれた、安心感のある応対である。
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ちょっと余談だが、実はもう1軒別の引っ越し屋さんに電話をかけた。
そこは“受付始めたばっかです”てな女の子が出、しどろもどろで話は通じないワ、上司に伺いをたてるので10分以上も保留にされるワでちょっと参ったので、電話口で断ってしまったのだった。
彼女自体は不慣れながら一所懸命だったのは伝わってきたのだが…接点は大事にせにゃーね。
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サテ。ちょっとケロヨン顔した、人なつこい感じのするおにィさんがやって来た。
部屋を見てもらう。1軒目の彼より手慣れているようで、ざーっと部屋を見回し、短時間で見積書を書き上げた。
「取りあえずこの料金ですが、ご希望はあります?」 単刀直入な質問。
そうですね…。その基本料金も既に1軒目の決定額より低かったのだが、ものは試しと、(事前に想定していた幅の下限額)くらいと思ってたんですけどねえ、と言ってみた。
すると、「わかりました、それで決めていただけるんであれば、それ+消費税でやらせていただきます」という。驚いた。ここでも基本料金の信頼性って一体?
まあ言っているせりふは1軒目とそう違わないんだが、こちらはかなり率直な印象を受けた。
さらに到着日を確かめると、こちらが事前に想定していた通りの短い日程が返って来た。
ほれみい。「少なくとも1週間はかかる、どこの業者でも同じ」と言っていた1軒目の彼に聞かせてやりたい答えだった。
値段は安い。到着日もOK。過去にお願いした実績もある。文句なしで契約である。
*
期せずして…というより半ば予期しつつ二重契約となってしまったが、1軒目はキャンセルした。
キャンセル料も確かめてあったのだが、今ならまだ段ボールの引き取り料5,250円だけである。2軒目の見積りはもっとはるかに安いので、キャンセル料も痛くない。
しかし…。
1軒目が置いて行った段ボール、すぐには引き取れないということなので、今ウチには、合わせて160個分の段ボールが折り重なっている(^^;)。
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