野性の呼び声-The Call of the Wild-
野性の呼び声 (ジャック・ロンドン/辻井栄滋訳) 社会思想社・現代教養文庫
「荒野つながり」で読んでみた。
セントバーナードとシェパードの間に生まれ、裕福な知識人の家で育った犬・バック。ある時、ユーコンのゴールドラッシュの中で犬ぞりの引き手として使われるために誘拐される。荒野で大変な目に遭ううち次第に自然からの呼び声に気づくようになり、最後の主人の死とともに森に還り、そしてオオカミたちのリーダーとして伝説となるまでの物語。
ちょうど100年前の小説(1903年7月公刊)だが、古さは感じない。もの言わぬ主人公だけに、いろいろな読み方ができる。
自然に還らざるを得なかった痛ましさか。
自然=自由の王国を開いたか。
これをヨリ観念的にスマートに描くと、「かもめのジョナサン」になるのかも知れない。
そのテーマについて、訳者あとがきでは「文明批判の書」というが、それはウガチ過ぎのようにも思う。原始に戻るのがいい(つまり、文明へのアンチテーゼ)ということでもあるまい。野生、自然とは、文明などとは関係なくどうしようもなくそこにあるもの、ということだろう。逆に文明もまた、どうしようもなくそこにあるものなのである。
「荒野つながり」で読んでみた。
セントバーナードとシェパードの間に生まれ、裕福な知識人の家で育った犬・バック。ある時、ユーコンのゴールドラッシュの中で犬ぞりの引き手として使われるために誘拐される。荒野で大変な目に遭ううち次第に自然からの呼び声に気づくようになり、最後の主人の死とともに森に還り、そしてオオカミたちのリーダーとして伝説となるまでの物語。
ちょうど100年前の小説(1903年7月公刊)だが、古さは感じない。もの言わぬ主人公だけに、いろいろな読み方ができる。
自然に還らざるを得なかった痛ましさか。
自然=自由の王国を開いたか。
これをヨリ観念的にスマートに描くと、「かもめのジョナサン」になるのかも知れない。
そのテーマについて、訳者あとがきでは「文明批判の書」というが、それはウガチ過ぎのようにも思う。原始に戻るのがいい(つまり、文明へのアンチテーゼ)ということでもあるまい。野生、自然とは、文明などとは関係なくどうしようもなくそこにあるもの、ということだろう。逆に文明もまた、どうしようもなくそこにあるものなのである。