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2007/02/16 金

毒舌に憧れる

最近AEON発寒SCが面白い。

SM(Jusco)はライヴァルなんだけど(笑)、「モンベル」とか、世界各国の食材を物色できる「カルディ」といった多彩なテナントを冷やかすのが面白い。
中に「Village Vanguard」という雑貨屋さんがあって、今回初めて入ってみた。おー。んー。おぢさんにはチト、こっ恥ずかしい。でも面白い。
昔風にいうならファンシーショップだろうし、雑然としたたたずまいはドンキに通じるものがある。
けど、これらと違ってどことなし好ましいのは、一定の秩序感がある(ような気がする)からだ。
ディスプレイする人の意思が感じられるということなのだろうか? 一貫したポリシー? カテゴリー指向? センス? あまり誉めすぎる必要もないので(笑)、深入りはしないけども…。

ま、先日、ぶらりと入って見た。「遊べる本屋」とかいうサブキャッチもついており、雑貨と並んで書籍も扱っている。品揃えはもちろん少ないのだが、テーマ別にマニアックに掘り下げられているところがこの店の独自性だ。メガマーチャンダイジングブックショップにない刺激と発見がある、わけだな。

で、刺激を受けてしまった。それは「宗教」のコーナー。密教関係の毒々しい色彩の本に混じって、懐かしき今東光和尚の本が目に留まった。

そうなのだよ。わしらの世代ならゼターイ読んでいる。週刊プレイボーイの人生相談。それも柴田錬三郎、今東光、開高健の頃…(担当コメンテーターが亡くなってバトンタッチされていくのが常だった)。ああ懐かしくも、刺激的だったあの頃。
その今和尚の本である。集英社文庫だから、ほかの本屋で見つけてもよさそうなもんだが、こういう店でこそ、出合うべくして出合ったということなのですな。

毒舌・仏教入門
毒舌・仏教入門」今東光(集英社文庫)

戸津説法といって、天台宗の偉い方が代々講じてきたのを、今和尚が務められた時の講話をまとめたものである。
代々の偉い方は、天台仏教の精髄をここぞとばかりに講義するわけだけども、そこは今和尚。時に河内弁、時に江戸弁を交えながら、自らの破天荒な人生経験をベースに語るわけです、聴衆をゲラゲラ笑わせながら。人呼んで漫才説法。

でも笑わせるだけではない、仏教(仏の教え)のエッセンスは深く強くこめられている。人間、狭い世界を分け合っているのだから互いに譲り合えばよいのに、それがなぜできないのか。「中道」で行けないのか…。
もとよりオレは仏教に帰依するものではない。今後ともない(自然宗教者だ)。だが誰しも傾聴すべき、大きな教えであろう。
世界の人々がみなこの境地に達すれば、いさかいも戦争も起きないだろうに。

同じコーナーでもう一冊買った本。

宗教世界地図 最新版
宗教世界地図 最新版」立山良司(新潮文庫)

単に「宗教」の分布を解説した本ではない。なぜなら、宗教の異なるところ、摩擦や紛争、果ては戦争や虐殺が必ず存在するからだ。つまりは、その「衝突の分布」を解説した本なのだ。

宗教の違いばかりが原因ではないだろうが、人間はなぜいがみ合い、理解し合えないのか。
Village Vanguardの雑然とした秩序感の中で、いろいろ考えさせられる一週間だった。

*
ところで、「毒舌」って憧れるなぁ。
知恵も力もない人間が毒づけば単なる捨てぜりふだろうけど(オレだ)、しかるべき人が言えば力強い箴言になる。

例えばジミン党のアベくんにも毒舌はムリだろう。

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