室の梅―おろく医者覚え帖
「室の梅―おろく医者覚え帖」 宇江佐真理 (講談社文庫)
隅田川に女の水死体が上がった。これは自殺か、それとも…? 「死人はただ死に顔を晒しているだけじゃねェんだぜ。ちゃんとな、手前ェはこんなふうに死にましたと言っているのよ」 …そう嘯くのは、容貌魁偉だがどことなく愛嬌のある江戸八丁堀の検屍医、人呼んで“おろく医者”美馬正哲。産婆の女房・お杏とともに殺しの痕跡を解き明かす!
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なんてね、久しぶりに虚構を読みましたな。
山で死んだ人を“おろく”という…云々なんてぇことを調べているうちにたまたま行き当たった本なんでござんすが、なかなか面白うござんしたよ。人物も立ってますし、時代の風俗や検屍の目のつけどころなんかもしっかと描かれておりましてな。
それにたまにゃあこう、カナがほとんど出て来ない本もよござんすね。
著者のことは知らなかったんですが、1949年生の函館の人ですな。
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で、おろくてぇのは、別に山で死んだ人に限ったことじゃあなく、南無阿弥陀仏の6字のこと…つまり死人全般に使った俗語のようでござんした。へぇ。
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