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2003/07/08 火

登山の誕生

登山の誕生―人はなぜ山に登るようになったのか
登山の誕生 -人はなぜ山に登るようになったのか (小泉武栄) 中公新書

いつから人間は、またなぜ人間は、スポーツやレジャーとして山に登るようになったか?を歴史的・考証的に解き明かす本。

アルプスやエベレストのヒラリー(英国隊:NZ人)を引くまでもなく、本場といえばヨーロッパかな~という気がするが、「登山」の歴史から言えば日本なんかの方がよほど早かったらしい(お山参詣や講、修験道など宗教的な対象として)。
一方ヨーロッパでは「魔物の棲む場所」として恐れられこそすれ、近年までとても人間が入り込むところではなかったという。それがなぜスポーツへと発展したかと言えば、やはりパイオニア的な変人がいたせいなのであるな…。

世界の登山界を牽引して来た英国だが、やはり貴族の遊びで山岳会組織なども硬直していたゆえ、庶民が参加する他国に次第に遅れをとって行った…など、さまざまなエピソードが面白い。日本の山岳会小史も瞥見される。

なお、孫引きになるが、日本山岳会の二代目会長(確か)だった木暮理太郎氏の言葉がよかったので、ここにも引かせてもらおう。
私達が山に登るのは、つまり山が好きだから登るのである。登らないではいられないから登るのである。なぜ山に登るか、好きだから登る。答えは簡単である。しかしこれで十分ではあるまいか。/登山は志を大にするという。そうであろう。登山は剛健の気性を養うという。そうであろう。その他の曰く何、曰く何、皆そうであろう。ただ私などは好きだから山に登るというだけで満足する者である。

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