<< 妙なものを作ってみる | main | 沖縄料理研究会 >>

2005/11/30 水

人類の生命記憶

胎児の世界―人類の生命記憶」(三木成夫・中公新書)を読む。

南洋から流れ着いた椰子の実の味に遙かなる過去を思い起こし、子供が体調を崩した関係で張ってしまった奥さんの乳を飲んで生命の幽遠を知る…みたいなエピソードから始まるのは、例の「個体発生は系統発生を繰り返す」(胎児はその発達段階で生物進化の過程をなぞる)というアレの物語である。


結論は「まんま進化の過程をすべてなぞるわけではない」ということなんだけど、お話しは現在から30億年を一気にさかのぼり、お母さんのお腹から遠く宇宙までを一息に飛び越えて行く。

比較発生学…なる分野の大家であった著者。
発生から4日目に生命の危機を迎える鶏卵と向き合う日々とか、胎児の標本にメスを入れるときの静かな、だがドラスティックな心の動きとか、鬼気迫る描写もある。

新書なんだけど、すげー巨大な内容。
うまく咀嚼できなかった…(^^;)。

(2005/12/1追記)

そう言えば松岡正剛氏の書評にも凄みがあります。
この評を読んで読みたくなった本でした。

Trackback URL


Comments

Comment form