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2010/07/22 木

本の行く末

“電子書籍”が普及して紙の本がなくなるかと言えば、答えはNOでありYESである。。。
人間には手触りが必要である、移ろいやすい電子ではなくまとまったブツと思考が必要である、本屋での逍遙が必要である、あれどっかにあったよなと本棚を、あるいはページを繰って探し回る無駄な時間が必要である…

などと、私ら紙の本体験がある世代は思い、NOと答えるだろう。そして私らの目が黒い間、紙の本がなくなることはない。

だがしかーし。

生まれた時からタブレットPCしか触ったことがなく、完全にその世界に最適化された“本”とその読み方しか知らない世代は、当然ながらYESと…いやそうとさえ言わないだろう、紙の本? なにそれ美味しいの?

「本を検索エンジンだけで探すようになるとたこつぼ化する」とか「本がバラバラにされて消費されるようになってしまう」と“本”の行く末を危惧する向きがあるそうだが、そういう心配はまったく無意味ではないだろうか。ツールが変わり、世界観が変わり、ニーズが変わり、生活体験が変われば、そこには世代間の断絶だけがあり、「幼年期の終わり」があるのみだ。

どっちにしても、いずれ出版文化の衰退とか業界・団体の沈降は(TVや新聞、その他既存の権威と軌を一にして)否応なく襲って来るのであり、ワシらの世代の知ったことではない。



電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)
電子書籍の衝撃」 佐々木俊尚 (ディスカヴァー携書)



*

ところで大変面白いデータが載っていたので引用。

1989… 5 ※
1990… 5 ※
1991… 9 ※
1992…22 (CHAGE&ASKA、B'z、サザン+桑田など)
1993…26 (ZARD、B'z、WANDSなど)
1994…32 (trf、Mr.Children、TUBE、B'zなど)
1995…47 (trf、B'z、大黒摩季など)
1996…41 (安室奈美恵、華原朋美、B'zなど)
1997…44 (安室奈美恵、KinkiKids、ドリカム、B'zなど)
1998…48 (GLAY、SPEED、B'z、L'Arc-en-Cielなど)
1999…40 (宇多田ヒカル、ZARD、浜崎あゆみなど)
2000…39 (宇多田ヒカル、モーニング娘。など)
2001…28
2002…16
2003…11
2004…11
2005…12
2006… 7
2007… 3
2008… 7
2009… 4 ※

日本レコード協会による、各年のミリオンセラー数の推移である。
(※とアーチスト名は管理人追記)

こうして見るとバブル後なんだなぁー。

なお、この数字にどういう意味が潜んでいるかは本書ご参照のこと。

*

もひとつ引用。

(7月19日、アマゾン社はKindle の売れ行きについてプレスリリースを発表、それによると)Kindle本の売行きはハードカバー本を冊数ベースで凌駕したとのこと。具体的に言えば、過去3か月ではハードカバー本が100冊売れるあいだにKindle本は143冊売れ、この1か月では100対180とその差がさらに広がっています。また2010年上半期におけるKindle本の売行きは、2009年上半期の3倍に拡大。五人の作家(Charlaine Harris、Stieg Larsson、Stephenie Meyer、James Patterson、Nora Roberts)については、50万冊以上のKindle本を売り上げたとアピールしています。

加えてKindle端末は値下げの効果もあって、売行きが三倍に増加。Jeff Bezos CEOは「Kindleの新価格により、我々はティッピング・ポイントに到達した」と宣言しています。

アマゾン、Kindle本の販売数がハードカバーを上回る

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