ゲゲゲの読書
「ゲゲゲの女房」 武良布枝 (実業之日本社)
妖怪の巨匠・水木しげる氏の奥さんが書いたエッセイです。巨匠の来歴を、いわば内側というか反対側から見続けて来た人の心模様が描かれています。
40歳台も見えて来ようかという時期に、赤貧の中、なかなか芽のでない漫画を机に向かって一心不乱に書き続けるちょっと変人な亭主。(その集中力が天賦の才なのですが)
対して、そんな亭主の後ろ姿を惚れ惚れと眺めやったり、常に一歩引いて亭主のわがままを受け止めたり、貧乏やつましい生活ぶりを苦にするどころかどこか飄々と楽しんだ風にも見える女房。
順風満帆ばかりではもちろんなかった漫画家の足下を、ほの明るく照らし続けたぼんぼりのようなイメージが浮かびます。
筆者自身があとがきで書くように、ごくごく「平凡」な人柄が全編を通じて伝わってくるんですが、巨匠の女房らしからぬ(ある意味ではとても似つかわしい)やわらかな雰囲気が心地よい本でした。
著者が「アシスタント」を務めたという鬼太郎の1ページや、水木氏によるカットなども楽しい。
このあと、家族全員に回したいと思います(笑)。
Comments
Posted by ハハ at 2010/05/13 16:55
Posted by H氏 at 2010/05/13 20:53