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2009/09/01 火

ルールのビミョウさについて

審判、それってありッスか!? スポーツをとことん楽しむウラ事情 (だいわ文庫)
某マイミクさん経由で興味を持ったので、こんな本を読んでみた。




先週の木曜だったか、朝のTV番組で司会のオグラ氏が、先日開催された世界陸上の女子800mで優勝し、セックスチェックに引っかかった選手の話題を取り上げていた。
(そういや結果はどうなったんだろう? まだ出てないかな?)

昔は居並ぶ審判員の前で全裸にさせられたとか、女性医師が全女子選手の性器を検診したとか、染色体を調べても実は1000人に一人、Y染色体を持つ女性が存在するとか…のエピソードをオグラ氏は語ったものだが、それが一通り、しかも順番も同じままこの本に出て来た。

なんたる偶然! ちょうどTVを見た日の昼にこのくだりを読んだので、つい笑ってしまった。

オグラ氏(かスタッフ)にも、まさにこの本が格好のネタ本になったんだろうなぁ。



さて…。

スポーツにルールが一切無かったら、極端な話それは殺し合いにしかならないだろう。
(殺し合いを抑止するルール…モラルさえも無いと仮定したら)

だが人間にはある種の理性があり(戦争とか差別とかいじめとかを見ればそんなのエセ理性だが)、なんらかの枠組みを加えた方がやってて/見てて面白いと考える生き物だった。

そしてさまざまなスポーツは、あるルールの元で行われる。

ルールは人間が決め、人間が裁く。
そこがまた不安定な面白さを生んでいる。
(この本はその辺の不安定さを面白おかしく紹介する)

テニスのアウト/インや野球のストライク/ボールなどを(それらがいかにも不安定なので)機械で判定したらどうか、という動きがあるようだが、そんなのまったく興ざめだ。やってる方はもちろん、見ててもストレスを感じるのではないか。

人間は不安定な方に惹かれるはずなのだ。(1/fゆらぎですよ)



で、さてさて…。
(以下続きはプロ野球ファン限定で(笑))
先の日曜のプロ野球、ホークスvsファイターズ戦。
ナシダ監督が退場になった。
抗議が長引いたため(というか、監督が判定を飽くまで不服としたため)である。

ファイターズ・ニオカ選手の送りバントに対して、ホークス・タノウエ捕手がボールを捕ろうとして交錯、ニオカ選手が守備妨害を取られた。

が、見る限り、これは明らかに誤審である。ニオカ選手が走り出そうとするところへタノウエ捕手が故意に突っかかっており(むしろ走塁妨害である)、あれが守備妨害なら右打者の送りバントは無くなる。

ナシダ監督の猛抗議が始まった。

ただ、この判定には伏線があった。

前の打席のコヤノ選手の送りバント。これは小飛球となったが、コヤノ選手はホームベースの真上で一瞬立ち止まり、打球を見守っていた。タノウエ捕手はコヤノ選手をかいくぐるような形でボールを捕球しようとしたがそれを取りこぼし、結果コヤノ選手は1塁セーフとなった。

こっちのプレイはグレーである(笑)。

守備妨害と言われればなるほどそうだなと思ったろう。だが審判はフツーにセーフをコールした。

当然ホークス・アキヤマ監督は抗議する。判定はもちろん覆らない。アキヤマ監督は引き下がった。

この直後の、ニオカ選手のプレイだったのだ。

主審、アキヤマ監督に叱られた直後だったので、今度はルールを厳密に適用したのかどうか、つい必要以上の判定を下してしまったと言われても仕方がない。

で、ナシダ監督は抗議を続ける。
一度出た判定は覆らない。
審判に促されて矛先を収めれば、退場まではなかったかも知れない。だが元捕手としての「常識」もあり、誤りに対してガンとして身を挺した。

マイクを手に退場の状況説明をする主審の声はひっくり返り、しどろもどろだった。後ろめたさがあったんだろう。

ファイターズ球団もコミッショナーへ提訴する方針だという。

これもまた当然の措置である。審判は毅然と正しい判定をする能力を身につけて欲しい。

だが…。

なんたってこれもベースボールなのである。
正確さに対してベストエフォートではあるべきだが、間違えたからといってこぞって罵倒するのも当たらないし、センサーやビデオのような機械を導入しようというのも無粋だ。

スポーツもルールも判定も、愛すべき人間の営みなんだから。

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