<< 夏のヤマ満喫 | main | 写真ノおべんきょー(2) >>

2009/08/02 日

写真ノおべんきょー

天才はしゃべりも奔放である。
いや、しゃべりが奔放、だから天才である。というべきか。
天才アラーキー写真ノ時間 (集英社新書)
天才アラーキー 写真ノ時間」 荒木経惟 (集英社新書)



撮影現場で、インタビューで、あるいは撮影現場に向かう車中などで採録されたアラーキーのフツーのしゃべくりを活字に落とした本。
ほとんどは下卑かエロかダジャレかウフフフ(アラーキー特有の含み笑い)である。
そんなのがカネになっていいなあ…と思って油断していると、ズバっと心臓を射抜かれたりすることになる。混沌の路地の奥で、ほんとにカネ出した甲斐のある珠玉の言葉に射抜かれる。まさに天才の爪の垢なのである。

性欲を我慢する知性がカッコいいかぁ? とか。
モノにピントを合わせるのは簡単だが、コトにピントを合わせるのは難しい。とか。
写真って関係性でしょ? とか…。

もっとも、そのエッセンスだけ並べても誰もハっとなんかしない。下卑とエロとダジャレとウフフの横溢の中から時々つい、と立ち上がってくるから凄みを持つのだ。

そう思えば、アラーキーのしゃべりはアラーキーの写真そのものであることがわかる。
しゃべりそのままに、圧倒的なドライブ感で夥しい写真を撮り続け、人間や(人間の営みの産物である)風景をえぐって行く。

すると、例えば本書の194ページや238ページにある写真…なにげないスナップに見えて、一度見たら忘れられない、いや、目が離れなくなるような圧倒的な存在感に出くわすことになる。

写真は人間なのである。

Trackback URL


Comments

Comment form