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2009/04/13 月

「ガロ」の面影

「カムイ伝」を読みたいと思っているんだけど、踏み出すにはなかなかカクゴがいりそうなので、その前にこの本を読んでみた。


「ガロ」編集長 (ちくま文庫)
「ガロ」編集長」 長井勝一 (ちくま文庫)


往年の名物編集長、長井勝一氏の自伝である。
ガロ」は、光文社や小学館などの大手が出していた漫画誌と好対照をなす、貸本文化から派生したやや暗くて屈折した(絵柄も概してスマートではない)雑誌で、全共闘の空気を濃厚にまとった作家群を輩出している。前者の代表選手が手塚治虫氏だとすれば、後者の代表選手が白戸三平氏である。

「ガロ」が本屋に並んでいたのは覚えている。やや沈鬱なイメージである。
ぱらぱらめくったことくらいはあったろうけど、買って読んだことはないんじゃないかな。創刊は1964年というから、オレが小学校に上がるくらいの頃。鉄腕アトムなどは喜んで読んでいたものだが、「ガロ」はちょっとムリだろう。
南伸坊や糸井重里、湯村輝彦なども巻き込みつつ雑誌は2002年頃まで続いたというが、あまり縁はなかった。

長井氏は1921年生まれ。「ヤマ師(鉱山師)」を志して早稲田工手学校に入るが、その後満州へ行ったり、戦後の混乱期に闇屋をやったり、ゾッキ本と言われる古本(倒産出版社の横流しが多かったらしい)の卸を手がけたりする。何度か結核を患うなど、浮き沈みが大きかった。
「好きなギャンブルは人生」を地で行くみたいな裏道的人生である。でも思い立ったらじっとしていないバイタリティがあった。
その戦中戦後の描写や、白戸三平氏との出合いの経緯はスリリングでエキサイティングだ。傍系ではあるが確実に存在感のあった、戦後漫画史のひとつの流れを知る上でも貴重なエピソードが続く。
漫画に対する、それも煩悶している新人作家に対する温かいまなざしがあった。「ガロ」は、そうした世間の底辺でうなだれている作家たちに発表の場を提供したいという一心で続けられた。

青林堂(「ガロ」の出版社)は「カムイ伝」の連載終了後、経済的に苦しくなって来たが、まだまだ有望な新人が存在する…と希望の灯のように書かれたところで、自伝はいささか唐突に終わっている(初出は1982年だそうだ)。濃密な断章というところである。

長井氏の、そして「ガロ」の続きが気になるところだが、それは上に張ったリンクに詳しい。

長井氏は1996年に亡くなっている。

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ぐわー、緑がぁっ(内容に関係ないコメントでごめん)

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