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2009/03/03 火

「ハイエク」

経済学者アイケイダ・ノボー氏と言えば、日本有数のブロガーであるとともに、その舌鋒の鋭さ…つーか口の悪さで煙たがられている(面白がられている)一人だろう。

氏の議論を読んでいると、しばしば特定のキーワードにぶつかる。NHK出身者として電波行政や著作権への言及、ゲーム理論、そして「ハイエク」である。
ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)
ハイエク --知識社会の自由主義」 池田信夫  (PHP新書)



フリードリヒ・ハイエクは1899年生まれの経済学者で、1974年にノーベル経済学賞を受賞している(1992年に死去)。その主張のユニークさから、主流の経済学者からは無視され、知識人からは嘲笑されたという。
といって、彼の主張は別に奇異でもなんでもない。
その根幹は、いわゆる「新古典派」経済学に見られる理念的で純化された前提からではなく、「人間は不完全な知識のもとで、必ずしも合理的とは言えない慣習に従った行動をする」という、フツーに考えれば当たり前の事実から出発していることにある。
つまり、計画され、規制された社会(たとえば社会主義)はうまく機能しない。野放図では話にならないが、人々の自由を尊重する分散自律型の社会生成を妨げないことがベターな(ベストではないが)解であろうと説く。

アイケイダ氏は、ハイエクの出自やケインズとの対立、主張の骨格や変遷などをひもときながら、インターネット(分散自律)時代である現代、さらに未来へと進むためには、今こそハイエクに学ぶべきだという。
そして、日本の官僚機構のムダ、知的財産権の欺瞞、電波やインターネットを行政や大企業が主導しようとすることの見当外れ、派遣など労働者施策の間違いなどを指摘する(これらはいずれも、既得の権益構造が社会を恣意的に規定しようとするものだ)。氏がいつもブログで主張している中味だ。

こうして見るとこの本、近代経済学の概観、ハイエクを通した現代~未来の捉え方について勉強になるばかりではなく、アイケイダ氏の入門書としても好適、ということになるだろう。

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…とエラソウに書いているが、経済学の素養がまったくないオレ、実はよく読めていない(^^;)。
とてもいい勉強になりそうなので、少し時間をおいてまた読み返してみようと思う。

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