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2009/01/23 金

ヤバい経済学

ヤバい経済学 [増補改訂版]
「経済学」なんて名前がついているけど、ひょっとして面白い本なんじゃないか? そう思って読み始めたら、こいつががまたすこぶる付きで面白かった。

その本、「Freakonomics」、

ヤバい経済学 [増補改訂版]」 レヴィット/ダブナー/望月訳 (東洋経済新報社)

という日本語タイトルがついているけど、直訳するならさしずめ「怪済学」だろうか。

内容は例えば…

犯罪発生率が大幅に減少した原因は“中絶”にある。
テストでインチキをするのは(生徒ではなく)先生である。
銃のある家より、プールのある家のほうがよっぽどキケン。
KKK(ク・クラックス・クラン:アメリカの人種差別団体)の本質は暇とハケグチである。

日々のできごとの陰にひそむこのような真の姿を、「人はインセンティブで動く」というセオリーを道標として、「いい疑問」と「いいデータ」を武器として、次々と解き明かしていく。

なんとも痛快の一語。

世の中のカラクリは見かけ通りでは決してないというのは、インターネット時代になって情報の検索や共有が容易になったこともあって、わしら(でさえ)もうすうす気づき始めている。
ただその姿に正しくアクセスするためには、冷静な目(あるいは立ち止まる余裕)と、情報の読み方を学ぶ必要があるだろう。

この本を読んで自分がカシコクなれるわけではないが、「今どき」を捉えるためのヒントは得られるかも知れない。

ちなみにブログもある。
*
中でも気になるエピソードは、なんたってスモウの八百長譚である。(それがこの本を手に取ったキッカケだし…てゆーか友人まこっちゃんに教えてもらったんだけど)

千秋楽を7勝7敗で迎えた力士と、8勝6敗で迎えた力士が対戦するとき、前者が勝つ確率は? 1981年から2000年までの約32,000取組から当該の条件を分析した結果、それは79.6%にも上るという。星が拮抗していることを思えば、データが多ければ多いほど結果は5割に近づきそうな中で、約8割。
重量級の数字の説得力を前に、つい俯いてごにょごにょという感じになる。

これはどう見ても、カネが絡めば八百長、カネが絡まなければ“無気力相撲”が想起されるではないか。
んー確かに。

まあちょっとだけごにょごにょさせてもらうとすれば、勝ち越しと負け越しじゃ天国と地獄の差。+3割くらいのモチベーションにはなるのではないか、という要因もあるだろうし、もう一つスモウという閉鎖社会と日本人のメンタリティも、変数として取り込んで欲しいところだ。
なにしろ中学高校の年齢から、ケイコやら巡業やらチャンコやらで常に顔を合わせている日本人同士(近ごろは外国人も多いが)。その相手が7勝7敗の瀬戸際で自分は勝ち越しているとすれば、少なくとも勝負への執念が70%くらいしか燃えさからないこともあるのではないか。現場の話として、それをオレは理解できないではない。
一神教の合理主義の國のスポーツの勝敗とは、機軸がチト異なってたっていいのではないか。

弁護するわけじゃないけど(まして八百長を擁護しようとは思わないけど)、ちょっとごにょごにょと。

*
もう一つ興味深かったエピソードは、「なにが子供の能力を決定するのか?」という命題。
いい子・デキる子に育てるためにはなにをしたらいいか? いい場所に引っ越す、いい学校に入れる、習い事をさせる、本をたくさん買い与える、音楽会や美術館に連れていく…。
途中は端折って結論だけを抜き出すと、上記のように「親が“何かを働きかける”のは実はあまり関係ない。問題は親が“どんな人か”である」という。いわく、いい教育を受けていて、成功していて、健康な親の子は学校の成績がいい。これが統計的事実だという。

で連想したのが、例のアニー・キッズ・アカデミーだ。

先日ニセコで、見るからにタダ者ではないおとーさんが2人の(小学校4~5年くらいの)子供を従えて滑っていた。子供たちはスキーが上手かったし、もっと上手くなりそうだ。
ひるがえってアカデミー。親子がけっこう大勢群がっているけど、引率して来た親はジーパン姿だったりする(子供を預けてゲレ食で奥さん仲間とダベったりするのかも知れない)。
雪の中で遊んで、雪と仲良くなるのはとてもいいけど、そういう子がもう少し大きくなって友達とスキー場で楽しむようになるかは、ちょっと心もとないのである。

*
蛇足ながらもうひとつ書いておくと、この本の結びは「例外」で終わる。

「いい教育を受けていて、成功していて、健康な親」を持ちながら人生を踏み外した子と、「母親に捨てられ、父親は暴力がちで、10代の頃には麻薬の売人をやっていた黒人」で、いまはハーヴァード大学の研究者になった子の対比である。

統計には必ず例外があり、限界があることを謙虚に暗示しているように思われる。

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Comments

子供の話を聞いて、ワシの相方が言った事
(ちなみに相方はピアノの先生です)

とある、音楽の発表会にて、プログラム見た段階で
相方:この発表会の子って多分質高よ
ワシ:なんで
相方:だって、子供の名前、ちゃんと読めるもの
   ヤンキーみたいな当て字無いから
ワシ:名前で分かるの?
相方:親の常識度合いがわかるのよ。
   だから、学習や習い事に関する親の考え方
   も分かるの。
ワシ:ふーん

で、聞いてみてやはり質は高かったです。
ほほうーナルホド!
それはいい観察ですなあ。

(ちなみにウチの姪っこ達はフツーには読めない字だけど、質は低くないです(笑))

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