<< 高価で乾燥的なワルツ | main | 西友の戦略って >>

2008/12/08 月

自然との共生を考える本

マタギに学ぶ登山技術 [ヤマケイ山学選書] (ヤマケイ山学選書)
マタギに学ぶ登山技術 」 工藤隆雄 (山と溪谷社)


ヤマケイ山学選書の一冊。
現代のマタギたちへの取材に基づき、われわれの山歩きの参考になる点はないか探ろうという本である。
もっとも、いまやマタギで生計を立てている人は一人もいないという。後継者がいない。もっとラクして儲かる職業へみななびいてしまう。

先日TVで、全国学力テストの成績がよくない(平均より低い)からといって課外補習だかをするようすが流れていた。コンブ漁の手伝いをする時間も必要なのでたいへんだとも。
お仕着せの歪んだ学問よりコンブ漁の方が重要な気がしたことを、読みながら思い出した。

マタギは山を知っている。
マタギは無駄を嫌う。
マタギは自然に優しい。
マタギは必要なものしか欲しがらない。

例えば舞茸を見つけた時、マタギは2割残して翌年また生えるようにしておくという。だが商業のヤカラは全部取ってしまう、下手をするとマタギが残した2割も持って行ってしまうという。

現代の“開発”は、自然をまったく顧みずに行われる。結果鉄砲水や崖崩れが起き、植生が変わり、野生の動植物が駆逐される。「山がだめになった」という。

ブナなどの原生林は、なぜか夏は涼しく冬暖かいという。杉などの植樹林は下生えもなく、貯水力もなく、冬はさむざむとするという。数百年・数千年の蓄積と、わずか数十年ほどで目先の成果を求めた結果の、大いなる違いを感じる。

商業主義は無駄を行う。
頭デッカチに自然は分からない。
現代人の欲には際限がない。

考えさせられる本である。


(2008/12/10追記)

載っていた関連書、お薦めいただいた本をメモ。
機会があったら読んでみたい。



(2010/2/8追記)

読んだら感想文を順次リンクしていきます。

Trackback URL


Comments

感じるな

考えろ  ってことなのか?


寂しいな・・・
杉林、ちゃんと下枝刈りしてメンテナンスすれば、保水力は高いらしいっす。
今でもしっかりと林業をしている人の取材記事で読んだことがあります。
>den様
「共生を考える」じゃなくて「共生を感じる」とでも書けばよかったのかな。
意味不明なコメントですな。

>江口様
オレは下生えがしっかりしてる杉林をあんまり見たことないなぁ。
そのメンテナンスが滞っている林は見たことがある。
作って管理する方がコストが高い、ってことなんじゃないかなぁ。
最近,似たような本を読んだよ.面白かった.
「ぼくは猟師になった」千松信也

Comment form