出雲神話
「出雲神話」 松前 健 (講談社学術新書)
八雲立つ、根の国、とも称された出雲は神話のふるさとである。
その出雲ゆかりのスサノオ、オオナムチといった「神」たちがどこから来て、いかに神となりしか、が論考される。
筆者は斯界では権威ある人のようだ。初版1976年と古い本ではあるけど、それまでの研究がここに評価集成されていて、出雲神話に関しては定本と言っていい内容のように思われる。
が、多少の考古学的・民俗学的な傍証や歴年の学問の成果はあっても、結局「原典」は記紀と風土記くらいしか残っていなくて、その上に立って推論をこねまわしているだけだし、そもそもその原典が現代に伝わるまでに、言葉や価値観の遷移も含めて相当な紆余曲折があることは否定できないだろう。なので、論考が正しいとは限らず(なにが正しいかもわからないし、正しくなければいけないわけでもないが)、神話はどこまで行っても現代の妄想の域を出ないのである。
もちろん、目覚ましい人や事績が語り継がれてやがて「神」になるプロセスや、人間には「神」が必要であり、支配者には統治や権威づけのためにまた「神」が求められるという古今東西変わらないと思われる「原論」抽出には意味があるのであって、書物の価値の高さは明かである。
いやそれにしても…読むのに時間かかって大変じゃった。
日本の原風景の理解に役立つとは言っても、結局オレには関係ないっつーことがよくわかった。
興味はあるけど関係ない本って、もう時間ないから読むのをやめよう…(^^;)。
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