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2008/02/07 木

忘れられた日本人

忘れられた日本人 (岩波文庫)
日本人は、物質的な豊かさを(一応)手に入れた一方、なにかを置き去りにしているのではないか? それがいま、さまざまな社会悪として露見しているのではないか?
というのがソボクな感懐であるのですが、こういう本を読むと、やっぱそうだよねぇ、と思いますね。


忘れられた日本人」 宮本常一 (岩波文庫)

明治~昭和前半期を生きた、主に四国・中国地方の老人の話をまとめた書です。分類的にいえば民俗学です。

みなが納得するまで2日も3日も話し合う“寄り合い”とか、声のいいのがモテる“盆踊り”、情報ネットワークでありガス抜きでもある女たちの会話、犯罪や病気でドロップアウトしても用意されているセーフティネット、おおらかな夜這い習慣(楽しそうだなぁ(笑))…タイトル通りの、今は無き日本の良風が、古老の声を通してつづられています。

貧しかったかもしれないが、必ずしも暗く狭い時代ではなかったのだ…それを教えてくれる良書ですね。

*
祖父の話を、こんな風に残しておけばよかったなぁというのが、いまも後悔の棘になっています。
祖父はそのむかし、山形の遊佐というところから若衆とともに樺太に渡ったという。山で熊に遭い、火と煙草でやり過ごした話、ロシア人の前でちょっと計算をすると「ヤポンスキーハラショー」と感嘆された話、草競馬で八百長を命じられて断り、馬主と殴り合いになった話…等々、子供時分に聞かされた話が心に残っています。

もっと聞いて書き留めておけば、この本くらいの内容にはなったに違いありません。お勉強も大切ですが、体験というのはことほどさように面白いものなんですね。

ただ、書き記した途端に、それは古び始めるわけです。
人から人へ語り継ぐものでなくなった時点で、それは生きた知恵ではなく、ただの知識になるのかも知れません。

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Comments

おお、これ読みたい。

私はほとんど祖父、祖母の世代の話って知らないんだよね。もしかしたら、親父、お袋の小さい頃の話もあまり知らない。いまのうちに聞いておこうかなぁ。
お、貸しますか?
次会った時に…(つーか、送る?)
あ、借りたいっす。貸してください。送ると送料かかるから、ニセコに滑りにきたときにでも呼び出してください。

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