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2007/09/12 水

裸の王様?

大相撲力士出身なら裸でもおかしくないか…というのは措いといて…。

日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱北の湖)が、テレビ番組で相撲協会を批判する発言をしたとされる元NHKアナウンサーの杉山邦博氏から、協会が本場所取材のために発行している取材証を没収していたことが11日、分かった。
杉山氏は2場所連続出場停止などの処分を受けた横綱朝青龍の問題について、秋場所前からワイドショーなどに何度も出演した。その中で少し相撲協会を批判されたと受け取った北の湖理事長が10日、杉山氏に取材証の返却を求め、応じたという。
これについて、相撲担当記者で組織する東京相撲記者クラブは11日付で理事長に抗議文を提出。杉山氏は「大相撲報道に長年携わってきたが、こういう扱いを受けるとは極めて残念無念。テレビ番組で相撲協会を切り捨てるような発言は一切していない」と話した。

スポーツ 北海道新聞

北海道新聞の朝刊を寝ぼけまなこで読み飛ばしていて、「杉山さんともあろう人が、なにかとんでもないことを言ったのかなぁ?」と思っていたら、話がなんか違うようですねぇ。
別の新聞には、もう少し詳しい状況が書かれている。(てゆーか道新はなんでこういう核心部分を飛ばすの?)

北の湖理事長は「『朝青龍の処分を決めるのに弁護士など外部の人間をいれた方がよかった』とする他の出演者の発言に杉山さんが同調するようにうなずいた。協会批判だ」とし、「番組で相撲評論家の肩書を使っていた。取材記者でないなら取材証はいらないはず」などとして没収したとしている。

asahi.com:朝青龍問題で「協会批判」元NHK杉山氏の取材証を没収 - スポーツ

なんと…「うなずいた」からだという。よしんば自らの発言としても、「外部の人間をいれた方がよかった」程度の意見がそれほどに悪なのか。

おまけに杉山(元)アナウンサーといえば、確かに「記者」でこそないかも知れないが、取材する立場には違いなかろうし、そもそも大相撲振興の大功労者ではないか。

近頃いろいろナイーブになっているとしても、批判(意見)に対してこれほどアンバランスで性急な強権で応じるのは異様に見える。

まさに「大相撲が劣化している」ことの証のように思われる事件ですな。

ちなみにWikipedia大相撲協会サイトなぞを覗いてみると、少なくとも理事会の構成員は大相撲出身者(年寄名跡を襲名継承したもの)に限られている。いわゆる「一般職員」も当然いるようだけど、各組織末端の実務レベルにとどまっているように思われる。

大相撲は誰のものか…。
奉納の時代ではあるまいし、國民の支持なくして成立しない以上、少なくとも協会「だけ」のものとは言えないだろう。

伝統文化の保持(題目)や力士のセカンドキャリアの確保(実質)は重要なことだけど、もっと柔軟に構えないと、これからやっぱ先細りの道しか残っていないのではないだろうか?

(2007/9/13追記)

本日のasahi.comによると、理事長と杉山さんが12日会談し、処分を撤回して取材証を返却したとの由。

  • 「評論家」ではなく「東京相撲記者クラブ会友」の肩書を使う
  • 杉山さんは協会批判は事実誤認と主張、理事長は「もう分かっている」と述べた
  • 朝から相撲協会に苦情電話が多数。理事長は「批判は真摯(しんし)に受け止める」とした

が記事の骨子。

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Comments

これ民間ならまだしも文化省の財団法人による
言論統制って事で立派な法律違反だよなぁ

女の子が出てきたからってポロっとIDカード返しちゃう杉山氏もリテラシーが無い(NHK出身だからか?)と思うけど

いくらジャーナリズムが根付きにくいと言っても相当酷いね

まぁ無能だって記事書かれて告訴しちゃう総理が居る国だから仕方ないのか・・やっぱだめだよなぁ

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